Amazonプライム独占配信の仮面ライダーBLACK SUN(全10話)を週末で一気見しました。仮面ライダー(初代)のリメイクはシン・仮面ライダーとして庵野秀明監督がやるので、こちらは初代ライダーへの原点回帰を目指したRXの、白石和彌監督によるリメイクというわけです。
ターゲットは明らかにBLACKをリアルタイムで観た世代、もしかするともう少しその上の世代かも知れません。というのも仮面ライダーBLACKの新解釈としての描写と、学生運動的な描写が半々だからです。
本作ではBLACKは、当初の作中での本名となるBLACK SUNで呼ばれています。元々そういう名前だったんですけど、通称BLACKだったんですよね。そういった「本当はこうだったでしょう?」みたいな作りはシン・ウルトラマンでもしばしば観られましたね。
本作で登場する学生運動は1972年。実際の歴史でも学生運動の終焉に当たる年です。そこから数えて今年でちょうど50年。キリのいい数字は偶然なのか狙ったのか、なかなか神がかっています。
にしでも、西島秀俊氏の枯れたBLACK SUNの格好良さよ。登場シーンの9割(いや、ほぼ全部か?)を湿っぽい顔で演じ、50代の心に刺さります。一方、SHADOWMOONである中村倫也氏は人肉由来の「ヘブン」を食べてきたお陰で加齢が遅いという設定。50年前の姿のままというわけです。
おじさんがやりたいことをJCにやらせる手法は、「ゆるキャン△」とか「スーパーカブ」に通じるものがあり、昨今のブームですね。以前はこういった欲望はあまり表化しないものでしたが、最近は表現側も欲望を隠さないですね。
正直、子供に見せる作品ではありません。残虐なシーンも多いし、手も足も首も飛びまくり、内臓飛び散りまくりです。今の子供たちはこういうのは見たいとも思わないはず。
怪人が日本政府が作った完璧な兵器という設定でしたが、今や世の中はそういうものは必要とせず、世界中の変人へのペットとしての需要により、現総理が私腹を肥やしているという話でしたが、怪人1体8,200万円(でしたっけ?)での取引しーんは、思わず「安っす!」と声が出てしまいました。現総理があんなリスク冒して一体8,200万円の「ペット」の商売をしてるって…セコすぎますね。
国会の予算委員会的なシーンで総理の右に座っているのが麻生さんのパロディだというのは一目で分かって可笑しくなりました。動きがまんまですからね。
Twitterなどを見ると最後、シャドームーンがあっさり手を引きすぎ(あっさり負けすぎ)という評価が多かったように見えましたが、まぁあれは「俺たち兄弟が争わないと信じてキングストーンを託したとは思わないのか」というBLACK SUNの問いかけに心が動いたと言うことなんでしょうね。
現在の黒幕である現総理が無残な形で退き、BLACK SUNとSHADOWMOONの最終バトルが決着したあと、怪人達はおそらく自然淘汰されてゆくのでしょう。一応、怪人と人間の間には怪人が生まれるという設定のようですが、ヘブンが量産できないとなると自然淘汰されそうな雰囲気でした。しかし怪人の秘密を暴かれた日本政府は、また新たな「悪」を仕立てて保身に走ります。
そして先のJCは、生き残った怪人と共に、集めた素養のありそうな子供たちに軍事訓練をさせたり爆弾を作らせたりして新たな戦いに備える…というラストなのですが、胸糞悪いとまでは言いませんが、ちょっとモヤッとしますね。国連で平和のためのスピーチまでしたJCがそこまで闇落ちしますかね、と。まぁ怪人改造をされてしまうというのはそれくらいの心境の変化をもたらすのかも知れませんが。
最終話10話の冒頭は最高でしたね。まさかの倉田てつを(滑舌そのまんま)。まさかの新作撮り直し。最初の1秒(扉が開くところ)の映像で「ハッ!これはやる気だ!」と気がつき、実際その通りやってくれましたが、改めて昔の映像と見比べるとスピード感がまるでないですね。このあたりにも「ブラックサンの中身は50代(60代か?)」という雰囲気が現れているという解釈もできるのですが、スピード感は維持して欲しかったかな。
当初、TV版のブラックとは全然違う姿で登場したブラックサンでしたが、話の中盤で覚醒モードに入りライダーのデザインがTV版に近くなりました。そして最後の最後でやってくれた訳ですが、徐々にTV版に近づいてくるという流れは上手ですね。10話冒頭で快哉を叫んだ人も多かったことでしょう。
あまり仮面ライダーには造詣は深くないのですが、とても楽しめました。
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