運動会で最もよく使われているカメラ「EOS Kiss」がモデルチェンジ。
全体的にはキープコンセプトだが、動画機能と連写性能が強化されており、一般ユーザーにとっての「これで十二分じゃね?」感はますます強くなっている。
フォルムが丸っこかったX5と比べると揺り戻しがあり、やや直線的になっている。背面ボタンのデザインも最近のEOS 5D Mark IIIあたりと同じデザイントーンに統一されている。個人的にはEOS Kiss X5の流れるような形状のボタンよりは、このX6のようなボタンらしいボタンの方が押しやすくて好きだ。
重量は570gから575gに微増したが、5コマ/秒の高速連写(従来は3.7コマ/秒)と液晶上のタッチパネル、もう1つのマイク(ステレオ化)を、僅か5gで付けてきたと考えれば良くやったとも言える。
動画性能が重視されており、フジフイルムが2010年にFinepix F300EXRで、ニコンが2012年にNikon1 V1で実装してきたような「撮像面位相差AF」が搭載されている。これは撮像素子の一部をAF用に転用することで、ライブビュー状態でのAFを高速化するものである。AF用に転用される画素は撮像には使えないので、映像的には「画素欠陥」となるが、その後の画像処理で補完され、ユーザには気がつかれにくい、と言う仕組み。
しかし今回EOS Kiss X6iに搭載されたものは一味違う可能性が高い。「Canon 画質を劣化させない像面位相差AFの特許」に記載された技術が搭載されているとすると、「AF用に転用した画素からも映像信号が取り出せる」ことになる。厳密には当該箇所の画素が周囲より小さいのでS/Nは悪化するだろうが、S/Nの悪い画素がたまにあったところで人間の目には認識できないはずだ。
同時にリリースされたレンズ「EF-S 18-135mm F3.5-5.6 IS STM」「EF 40mm F2.8 STM」はキヤノンEFレンズ初のSTM(ステッピングモーター)が搭載されたレンズで、EOS Kiss X6iと組み合わせることで静粛なAF動作ができるとしている。従来のカメラで駆動した場合にはどうなるか興味があるが、EOS 5D Mark IIIやEOS 1DXあたりにはいずれ「STMレンズを静粛に駆動するファームウエア」が提供されるのではないだろうか。
キヤノンのカメラのヒエラルキーは、チャンスへの適応力のヒエラルキーでもある。今年はキヤノンからもいよいよミラーレスが登場すると噂されているが、このEOS Kiss X6iの迷いのない性能強化っぷりを見ると、一瞬のチャンスをものにするにはこれからもEOSなのだろう。
—
・EOS Kiss X6iを安い順で検索(楽天)
・CANON デジタル一眼レフカメラ EOS Kiss X6i EF-S18-55 IS II レンズキット KISSX6i-1855IS2LK(Amazon)
コメント