EOS Rで戦闘機を追った所感

EOS Rで戦闘機を撮影した所感を記述する。

使用したレンズはEF 70-300mm F4-5.6 IS II USM。キヤノンの300mmをカバーするフルサイズ用レンズでは最軽量であり、長く空に向かって構える場合には疲労低減になる。RFレンズではないので、ファインダーの「高速表示」は使用できない。高速表示について詳しくは後で述べる。

 

EOS RではAIサーボAFを使った場合に秒間5コマ、ワンショットAFやMFの場合は秒間8コマの撮影が可能である。まず秒間5コマのモードで戦闘機を追ってみたが、最接近した際(300mmで、画面幅の半分程度を戦闘機が占めるくらいの距離)では連写速度の不足を感じた。ただ、訓練である程度カバーできるようにも感じた。

秒間8コマのモードだとだいぶ追いやすくなるが、この場合ワンショットAFかMF(置きピン)を使う事になる。ワンショットAFでは動く被写体に対しては実用にならず、無限遠に置きピンではフォーカスが合っていないように感じた。一般的に無限遠は焦点距離の2000倍が目安とされているので、300mmのレンズを使っている場合には600m以遠が無限遠となる。戦闘機の最接近はおそらく観客から200~300mくらいではないかと思われるので、無限遠に置きピン作戦ではピントが甘くなるのは理屈に合う。絞る手もあるが、連射時に絞りを深くすると1枚撮影ごとに電磁絞りの駆動時間が含まれるようになるので、連写速度が低下してしまい、何のために置きピンしているのか分からなくなる。

AIサーボAFを使うか置きピンにするか一長一短あるが、フォーカスの歩留まりが良いAIサーボAFの秒間5コマがベターのように感じた。フォーカスが合えばあとは何枚に1枚かは成功したカットが入っている可能性があるが、置きピンでフォーカスがずれていると全滅になるからである。

次にファインダーの見え方だが、EOS RにEFレンズを装着すると連写中は常に撮影結果のみが連続表示されることになる。常に被写体の動きに対してコンマ数秒遅れたものが表示されるので、動体を追うのがとても難しい。これを改善するためにEOS R「高速表示」という機能があるが、これはあいにくRFレンズでしか使用できない。そしてRFレンズのラインアップで一番望遠なのが現状 240mmであり、戦闘機の撮影にはちょっと物足りない。

ところでこの「高速表示」について「フレームレートが向上する」とか「ブラックアウトがなくなる」と記述している記事がネット上に散見されるが、いずれも誤りである。高速表示とは「撮影結果表示とプレビュー表示を交互にする」機能のことである。検証動画を作成したので以下に貼る。

ところでEOS RではAPS-C相当のクロップ撮影ができ、これにより焦点距離が1.6倍に伸びる。240mmのレンズであれば384mmとなるが、「トリミングなし」に価値観を置かないのであればメリットはない。クロップ撮影したところでセンサー中央部のみを使うだけで画質が向上するわけでもなく、むしろ視界が狭くなることで動く被写体を見失いやすくなるからである。画質が上がらないのであれば広い視界で楽々と追っておいて、あとでトリミングするほうが良い。

さて以上を踏まえて機材は適切だったかを振り返ってみる。あくまでボディはEOS Rを使うという前提で、レンズをEF 70-300mm F4-5.6 IS II USMにするか、RF 24-240mm F4-6.3 IS USMにするかだが、それぞれ以下のようなメリット、デメリットがある。

■EF 70-300mm F4-5.6 IS II USM
・ワイド側がほんのちょっと足りない印象を持った。テレ側ももう少し欲しい。
・ファインダーの高速表示が使えない。

■RF 24-240mm F4-6.3 IS USM
・ワイド側が広く、観客と絡めたカットが撮りやすい。ブルーインパルスなどのスモークを広く捉える場合にも便利。
・テレ(望遠)側が足りない。
・ファインダーの高速表示が使える。

一長一短なので、どちらがいいかとは一概に言えないように感じた。ややRF 24-240mm F4-6.3 IS USMの方のメリットが多いだろうか。ただ、普段使いとしてはEF 70-300mm F4-5.6 IS II USM の方はLレンズに迫る高画質で満足度が高いのが悩ましいところ。RF 24-240mmは10倍ズームという欲張りスペックが画質の凡庸さに出てしまっているように感じる。

そう考えるとSIGMAの60-600mmというのは戦闘機撮影用としてよくできた焦点距離だと思う。重くて筋肉痛は必至だが。

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